~直前のトレーニングと調整について~
1.大会前のトレーニング
もうレースの日まで間がありませんので、これから激しいトレーニングを行うことはおすすめしません。2008年1月中にいちど25km以上の距離を走り通すことのできた選手、あるいは1月に月間200km以上の距離を走った選手は、フルマラソンの距離に対する耐性がある程度できているでしょう。走行距離を半分以下に落として、とにかく身体をフレッシュな状態にもっていくことをこころがけてください。1月に最長15km程度の距離しか走っていない選手、あるいは1月に200km以下しか走っていない選手は、1週間前にできればゆっくり余裕を持ったペースでの20km走を行えれば理想的です。しかし、その日を除いては、練習量をあわてて増やす必要はありません。疲労をためては逆効果です。10km以上の距離を踏んでいない選手、あるいは1月の走行距離が100km未満の選手は、フルマラソンの準備としては明らかに不足しています。レースへの出場辞退を考慮するべきです。どうしてもチャレンジする場合には、今日からジョギングの距離を一日ごとに2-3kmずつ伸ばしていって、レースの2日前から休養すればよいでしょう。しかし、無理は禁物です。
2.練習中のけが
本来、練習量は段階を踏んで漸増させていくのが望ましいのですが、東京マラソン参加の機会を得てはりきるあまり、急に練習量を増やしすぎたことにより、脚の痛みを覚えている選手もいることでしょう。痛めやすい場所は、膝のお皿、膝の外側の腸脛靱帯、アーチの踵よりの部分、すねなどです。走り始めてすぐ痛みを感じる場合には、走行距離を減らし、道路よりもなるべく柔らかい走路を走るようにし、シューズを再検討することが必要です。再発予防のために、腹筋運動やスクワットなどの補強運動、ストレッチングをとりいれるのもいいでしょう。それ以外に、スピードを急に上げた後などに大腿後面やふくらはぎの張りや凝りを自覚することがあります。この場合にはスピード練習を控え、マッサージなどで筋肉疲労を早く取り除く努力をしましょう。鍼や磁気治療器が効果を発揮することもあります。いずれにせよ、故障はせっかくのランニングの楽しみを大きく損ないますので、早めに手を打ち長期化させないことが肝要です。
ケガや痛みに対して処方される消炎鎮痛剤を飲んで走ると、熱中症が起こりやすくなります。局所療法を中心に行い、どうしても薬を使う場合には、アセトアミノフェンを医師から処方してもらいましょう。
3.レース直前~前日の調整
レースの1週間前に、人によっては15~30kmの距離を走ると思います。しかし、その後は極端に練習量を減らしてとにかく疲労を身体から取り除くことを考えなければなりません。もはや10km以上のランニングは必要ありません。レース前の3日間は、たんぱく質の摂取を少なくし、炭水化物(米、パスタ、ポテト、パン、シリアル、甘いもの)を多くとるようにしてください。これにより筋肉へのグリコーゲン貯蔵が促進されます。これをグリコーゲンローディングと呼びます。また、レース2日前ぐらいから意識して水分補給を積極的に行ってください。身体に十分水分を貯め込んだ状態をつくることが、レース中の脱水予防となります。アルコール飲料は脱水症状を引き起こす原因となりますので、レース前日の飲酒を避けてください。
なお、インフルエンザの流行する時期です。発症がレースの5日以上前の場合、抗ウイルス剤内服の適切な治療によりただちに解熱すればレース出場は可能かもしれません。しかし、発熱した状態でのレース出場は、十分なパフォーマンスが発揮できないばかりか、危険でさえあります。出場できるかどうか、主治医と相談してください。
またレース直前に風邪をひくランナーもしばしば見かけます。室内の湿度を十分保ち、うがい・手洗いなどを励行することにより予防をこころがけましょう。のど飴を常に携帯することも効果的です。
4.レース当日~レース終了後
レース当日の朝、ナンバーカードと一緒に配布された「スタート前チェックリスト」でレース当日の体調をチェックしてください。体の調子が悪いと感じた場合には、勇気を持ってレース参加を辞退してください。レース途中でも、体調が悪いと感じた場合には棄権する勇気を持ってください。緊急事態は多くの場合、「体調が悪かったけれど棄権したくなくて無理をした」という場合に起こりがちです。熱、嘔吐、下痢、胸痛などの症状がある場合、出場はおすすめできません。レースのスタートは午前9時10分です。朝6時から7時の間の1時間で、水分を500ml飲みましょう。そして、レース前30分には、水分を少なくとも300mlを飲み、水分を飽和状態にしておきましょう。糖分と塩分が入ったスポーツドリンクや水がおススメです。朝食は自分のゴール予想時間の6時間ほど前にとるのがよいでしょう。5時間以上かかるランナーは会場に到着してからもなんらかの食べ物を補給する方が望ましいでしょう。さらにゼリーや飴類などを携帯するのもよいでしょう。沿道からの食べ物の差し入れは基本的には期待できませんが、25km頃より給食所が設置されますので、糖分、水分などのエネルギーを補ってください。念のために小銭を用意しておいて、いざというときは沿道のコンビニエンスストアで給食できるようにすると安心です。十分保温性のある服装でレースに参加してください。極端な厚着よりも、帽子や手袋やネックウォーマーなどの末梢・露出部をカバーする小物が役立ちます。エネルギー切れに伴うペースダウンの後は、体温維持が難しくなり、大変に寒く感じるようになります。特に5時間以上かかりそうなランナーはゴールが14時をすぎ、徐々に気温も下がりはじめますので防寒対策を怠りなく。たいていのランナーはペースダウンと闘いながらゴールしてくるので、フィニッシュ後は、まず保温と体温維持が重要となります。可能な限り自力で歩いて、なるべく早く預けた自分の荷物を受け取り、上着を羽織りましょう。フィニッシュラインで倒れ込んだり座り込んだりしてしまうと、どんどん体温が失われます。無理なラストスパートをせずに、自力で歩ける程度の余裕は残してゴールしてほしいものです。落ち着いてから、水分補給及びバナナなどのエネルギーになるものを摂りましょう。予想以上に気温が高く発汗が多かった場合には、身体が塩分を欲していますので、塩分のあるものも適宜補給してください。
(東京マラソンメディカル委員会、2008年1月31日改訂)


